デジタル一眼レフカメラ初心者入門講座

星空の撮影方法

最終更新日:2019年5月2日

デジタル一眼レフカメラを手に入れたら一度はやってみたい星空の撮影。しかし星空の撮影は難しいと諦めている人もいるのではないでしょうか。
確かに星空は適当にオートモードで撮れるほど楽ではありませんが、ポイントとコツさえ押さえれば誰でも撮影するこができます。ここでは初心者向けの星空の撮影方法についてご紹介いたします。

星空が撮りやすい場所や時間・季節は

単に星空が撮りたいと思っても、いつでもどこでも条件がそろっているわけではありません。まずは以下のことをチェックしましょう。

■月が出ていないかどうか
星空の撮影で最も邪魔なのが月明りです。月明りがあると見える星空の数が少なくなるだけでなく、光害となって撮影に影響を及ぼします。できれば月明りがほとんどない新月前後がねらい目ですが、半月程度でも時間帯によっては見えないので、月の出入をチェックしましょう。
チェックするなら国立天文台の今日の星空が便利です。

月が出ているときに星空を撮るとこんな感じになります。まるで昼間のような明るさです。

■光害が少ない場所を選ぶ
都市部では街の明かりが強すぎて星があまり見えません。一方街の明かりが届きにくい地方や山間部では星がよく見えます。空さえあればどこでも星空を見ることはできますが、満天の星空を眺めるのなら光害が少ない場所を選びましょう。全国の星空スポットや光害マップを参考にすると良いでしょう。

星空の撮影に必要なもの

■カメラとレンズ
星空はとても暗いので、ISO感度を上げて撮影する高感度撮影が基本です。イメージセンサーが大きいフルサイズやAPS-Cサイズ、フォーサーズの一眼カメラなら問題ありませんが、コンデジやスマホでの撮影は困難です。コンデジでも高級コンデジと呼ばれる1型以上のイメージセンサーを搭載しているものなら撮影が可能です。
レンズは明るい単焦点レンズほど星空の撮影には向いています。天の川などを全体的撮影するなら超広角レンズなどもあればいいですが、なければキットレンズでも十分です。

■三脚
星空の撮影はスローシャッターを行いますので三脚は必須です。天に向けれればよいので低い三脚や卓上三脚でも撮影は可能です。上を向けやすい自由雲台を取り付けておくと便利です。

■レリーズ
レリーズはカメラに触れることなくシャッターが押せるものです。なければセルフタイマーでも代用できます。

■懐中電灯
星空の撮影は真っ暗なスポットが多いため、移動用の明るいライトと手元が操作できる小さいものなど複数用意しておくと便利です。撮影スポットによっては他の撮影者も多くいますので、暗めのライトや赤いセロファンを取り付けたものなども準備しておくとよいでしょう。

■レンズヒーター
冬の寒い日に撮影する場合、霜が付着する可能性があります。特に天体撮影はレンズを上に向けるので、風のない日は簡単に霜が付着して曇ってしまいます。レンズに巻き付けるヒーターがあると便利です。

■寒さ対策や虫よけなど
寒い日はずっとその場に居座らないといけませんので、防寒着はもちろんカイロなどもしっかりと準備しましょう。逆に夏場は蚊や虫との闘いです。虫よけグッズなども忘れないように。

撮影前の設定は

現地に到着する前に、必要最低限の設定を覚えておくようにしましょう。現地ではとても暗く、焦ってしまうとバタバタしてしまい、想像以上に時間がかかってしまいます。事前に準備できる設定は明るいうちに行っておくことでスムーズです。

■撮影モードは「マニュアル」
星空の撮影はマニュアル撮影が基本です。モードダイヤルを「M」位置に合わせるか、撮影モードをマニュアルにしましょう。


■フォーカスモードも「マニュアル」
星空は非常に光源が小さいのでオートフォーカスが役に立ちません。フォーカスモードをマニュアルにセットしておきましょう。

■手ぶれ補正は「OFF」
手ぶれ補正機能があるレンズやカメラはOFFに設定しましょう。三脚で固定するので手ぶれ補正を働かす必要はありません。


■F値は開放 
F値はそのレンズができる目一杯小さい数字にしておきましょう。キットレンズならF3.5、単焦点レンズならもっと小さくできるはずです。

■シャッター速度は15秒程度 
星をしっかりと捉えるには15秒前後が理想です。これ以上遅いと星が点ではなく線になってしまいますし、速すぎると暗くて星が写りません。広角レンズの場合は25秒くらいにしても大丈夫です。


■ISO感度は1600~3200 
基本的には高感度で撮影しないと星が捉えられないので、ISO感度は3200程度にセットしておきます。これも空の明るさや星の量などコンディションによって変更しましょう。

■ホワイトバランスはお好みで 
RAWで撮影する場合は後から変更できるので何でもいいですが、JPEGで撮影する場合は理想の色になるように予め設定しておきましょう。蛍光灯や白熱電球にすると青っぽくなり、曇り空や日陰にすると空が黄色っぽくなります。


■液晶画面は最小まで暗くする 
せっかく暗闇に目が慣れても、液晶画面が明るすぎると眩しくなってしまいます。現地ですぐに液晶画面の明るさを暗くできるようにしておきましょう。設定画面をあちこち探す羽目になってしまうので、事前に練習しておくとスムーズです。

■高感度撮影時ノイズ低減はOFF又は弱めにする 
高感度時のノイズ低減をONにすると、小さい星の明かりが消えてしまう恐れがあります。高感度時のノイズ低減はオフか弱めに調整しましょう。





星空の撮影スポットでライトを豪快に点灯すると怒られる

星空を撮影するスポットでは、明かりに対して十分な配慮をする必要があります。ご自分一人だけで撮影する場合は好きなようにしていいですが、有名な星見スポットになると、他にも撮影している人が大勢いる可能性があります。

そんな中、明るいライトをブンブン回しながらドヤ顔で撮影ポイントに行くと、かなりの高確率で怒られます。年配のオジサンなどには「ライトを消してっ」と本気で怒られます(笑)筆者も最初のころは何もわからず、よく怒られたものです。

天体写真を専門で撮っている人や、赤道儀など専門の機器を使って撮影する人たちなどは、有害な光が写ってしまうと台無しになってしまうので、それだけ光に対してもシビアです。



自分以外に人がいそうな気配があったら、ライトを消すか、赤いセロファンを貼ったライトを使うなど、配慮するようにしましょう。

ピント合わせを念入りに行う

初心者が失敗しやすい写真として多いのが、全体がぼけて美しい星空が撮れないというケース。原因の大半はピント合わせが上手にできていないことが挙げられます。ピントの合わせ方をしっかり理解しておきましょう。

よくピントを事前に決めておいて、ピントリングをテープで貼って固定しておくという技も紹介されていますが、ピントは気温で変化しますし、ピントリングの固定を過信していると微ズレで全滅… という事態もあります。ピントを合わせる技術を覚え、こまめにピントを合わせることを心がけましょう。

最初にフォーカスモードがMF(マニュアルフォーカス)になっていることを確認。これを忘れるとせっかく苦労してピントを合わせても、シャッターボタン半押しでAFが働いて終わってしまいます(笑)

1.明るい星を見つけたら、その方向にカメラを向けて固定する
まずは明るい星を基準にしてピントを合わせることが最初の課題です。空を見上げて明るい星を見つけたら、その方向にカメラを向けて三脚を固定します。向ける方向はだいたいで問題ありません。遠くの街明かりや街灯、遠い照明などを基準にしても構いません。

2.ファインダーを見ながらフォーカスリングを行ったり来たりさせてみる
明るい星や目印にレンズを向けたら、ファインダーを見ながらフォーカスリングをゆっくり回してみましょう。レンズに距離ガイドメーターがあるものは、無望遠(∞)マークの付近で星が見えるはずです。キットレンズなどは距離ガイドがないので、どちらかに目一杯回し、少し戻したところでピントが合うはずです。
星が見えたら、できるだけ明るい星がファインダーの中央に来るようにカメラの向きを微調整しましょう。


3.ライブビューに切り替えて、フォーカス枠を明るい星に合わせる
次にライブビューを起動して、液晶モニターで星を確認しましょう。このときISO感度や絞りなどを星空を撮るような条件に設定していないと、暗くて何も液晶画面には映りません。絞りを開放にし、とりあえずISO感度は3200、シャッター速度は20秒くらいに設定しましょう。そしてフォーカス枠が明るい星の中に入るように位置を調整します。カメラの向きを変えてもいいですし、フォーカス枠を移動させてもOKです。

カメラを天体に向けたらライブビュー起動ボタンを押しましょう。


フォーカス枠を明るい星に合わせます。

4.ライブビュー画面を拡大して、フォーカスリングをゆっくり回す
最後にライブビュー画面を最大まで拡大します。星が確実に白い点になるようにフォーカスリングをゆっくり回してピントを合わせましょう。



最後に星が点になるように最後の微調整を行います。フォーカスリングをゆっくり動かして、星がの輪郭がはっきりするようにピントを合わせてください。この微調整をしっかりするかしないかで、星空の仕上がりに大きく影響します。

ピントを合わせるとき、青い玉が残像のように現れることがあります。青い玉見えないようにピントを合わせるとよいでしょう。


ライブビューで星が見えない場合

星はとても暗いので、使っているレンズや環境によってはライブビューでほとんど星が見えない場合があります。次のことを試してみると感度が上がって液晶画面で星が見やすくなる場合があります。

■ライブビューの露出シミュレーションをONにする
ライブビューの露出シミュレーションとは、ライブビューで撮影する際、実際の仕上がりに近い明るさで画像が出るようにする機能のことです。これがOFFになっていると仕上がりをプラス補正しても明るくならないので、必ずONにしておきましょう。デフォルトでは特に触ってない限りONになっています。


■シャッター速度を30秒まで伸ばしてみる
実際にシャッター速度を30秒まで長くして撮ることはありませんが、露出シミュレーションがONの場合は、シャッター速度を遅くすると明るく仕上がりますので、液晶画面に星が写りやすくなります。撮影するときは15秒くらいまで戻しますので、ピント合わせのときだけ一時的に設定します。

■ISO感度もできるだけ上げてみる
とりあえずピントを合わす一時的なものなので、ISO感度もできるだけ上げると、星が写りやすくなります。しかし上げすぎるとノイズも目立ちますので、ピント合わせの判別が難しい場合は少し下げてみてもよいでしょう。

ピント合わせが終わったら いよいよ撮影開始

ピント合わせがしっかりできてしまえば、もうこっちのものです。あとは条件を変えながら撮影していくだけですので、最初の1枚を撮ってみましょう。

まずはシャッター速度を15秒、絞りは開放、ISO感度は1600にセットして撮ってみましょう。

仕上がりが明るすぎる場合は、ISO感度を少しずつ下げて撮影します。街明かりが大きい場所では、長時間露光すると空がすぐ眩しくなってしまうので、街中や自宅で撮る場合はこうなる場合が多いと言えます。


仕上がりが暗すぎる場合や、思うほど星が写っていない場合はもう少しシャッター速度を遅くします。街明かりなどが干渉されない星見スポットや山奥などに行くと、なかなか空が眩しくならないので、もう少し長めのシャッター速度や、ISO感度を上げて撮影してもよいでしょう。




最後にピントがしっかり合っているかどうか、等倍再生してチェックしましょう。
正直これがとても大事です。


ピントが微妙にずれていると、星の光が残像のようにボケています。もしずれているようならピント合わせからやり直しましょう。風が強い場合はカメラが振動している可能性もあります。風が当たらない場所に移動するようにしましょう。


天の川の写真はどうやって撮るの?

天の川の写真も基本的には普通の星空の撮影と変わりません。天の川はカメラの設定よりも、天の川がよく見える場所に行く必要があります。天の川は星の明るさが暗いため、街の明かりなど有害な光が届かない場所に行かないとよく見えません。
加えて明るいレンズと高ISO感度が重要になりますので、より高感度で撮影できるフルサイズのデジタル一眼レフカメラや、開放F値がF2.0以下の明るいレンズがあると理想的です。きれいな天の川を撮影するには少し難易度が上がりますが、まずは天の川がよく見えるスポットに行くことが大切です。


国内でも有数の星見スポット、大台ケ原山から撮った天の川。14mm・F2.8・ISO3200で撮影後、レタッチソフトで編集。


50mm・F1.4.ISO6400で天の川中心部を撮影。天の川はよく見える場所で明るいレンズを使うことが条件です。

教科書や図鑑に載っている天体写真は撮れるの?

残念ながら教科書や天文雑誌に出てくるような渦を巻いた銀河や星雲などの写真は、「赤道儀+天体望遠鏡+カメラ」の3セットが必要になってくる上、観測箇所も光害の少ない地方の山の上などで撮影する必要があります。カメラと三脚だけで手軽に撮ることはできません。


ここでは初心者向けサイトなので、これ以上詳しい天体写真の撮り方は説明しませんが、本格的な天体写真に興味がある方は「天体写真」「赤道儀」「ローパスカット・天体」などで検索してみてください。

星空の撮影方法まとめ

・星空は撮影する条件よりも、撮影に適した場所や時間を選ぶほうが大事
・月明りと街明かりが撮影を妨害する材料
・現地で慌てないように事前に設定を行っておく
・大事なのはピント合わせ、ピントさえ合っていれば後は設定をいじるだけ
・天の川などはより良い条件の場所で撮影する必要がある
・雑誌や教科書に載っているような天体写真を撮るには専用の道具が必要

星空を美しく撮るのは事前の準備とピント合わせのテクニックと言えます。明るい星は自宅からでもよく見えると思いますので、外やベランダでピント合わせの練習をしておくと現地でもスムーズです。上記を参考に素敵な星空写真を撮ってみてください。

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