デジタル一眼レフカメラ初心者入門講座

シーンに合わせた絞り値の使い分け

最終更新日:2019年5月2日

絞り優先モードでの撮影方法を覚えると、いろいろなシーンで絞り値を変えて撮ってみたくなりますよね。しかし基本的な使い分け方法を覚えておかないと、変な写真になってしまったり、撮影にとても苦労してしまいます。ここではシーンに合わせた絞り値の使い分けをご紹介いたしますので、これからの撮影シーンの参考にしてみてください。

絞りを開放して使うシーン

絞りの開放とは、つまりF値を目一杯小さくして、たくさんの光を取り込むことができるようになります。絞りを開放すると、被写界深度が浅くなり、ピントの合う範囲が狭くなります。このことからピントが合っている場所以外はボケやすい性質があるため、強いボケを活かした撮影が容易になります。また、たくさんの光を取り込めるため、暗い場所でも速いシャッター速度が期待できるといったメリットがあります。
しかし絞りを目一杯開放するとレンズの特性上、ある程度画質が低下します。コントラストや解像感の低い、いわゆる「眠い写真」になりやすいといったデメリットもあるため、開放しすぎには注意する必要があります。

■絞り開放のおすすめシーン
・背景をきれいにぼかして被写体を引き立たせるとき(広角レンズ時)
・星空や天の川などの天体を撮りたいとき
・ふわっとした感じのゆるい写真を撮りたいとき
・花やモノなどのクローズアップ撮影(紹介写真ではなく作品写真として)
・人物などのポートレート撮影(広角レンズ時)
・スポーツやレースなど動きの激しい被写体の撮影(望遠レンズ時)
・暗い場所での手持ち撮影


絞りF2.8 焦点距離200mmで撮影 もともと望遠レンズは被写界深度が浅いため、ある程度絞ってもボケやすい性質をもっていますが、手持ち撮影で手ぶれを防ぎたかったため、あえて高速シャッターにするため絞りを開放しました。


絞りF2.8 焦点距離14mmで撮影 星空の撮影には、明るいレンズを使いながら絞りを開放にして撮るのが基本です。絞ってしまうと長いシャッター速度が必要になり、星が点ではなく線になって流れてしまうからです。


絞りF2.0 焦点距離50mm このような夜のお祭りやイベントの撮影では、絞りを開放してISO感度も上げることで、速いシャッター速度が確保できます。もちろん手持ち撮影も可能ですし、被写体ぶれも軽減できます。

■絞りを開放して撮影する際の注意点
明るい場所で絞りを開放する際はシャッター速度に注意する必要があります。絞りを開けるということは、それだけたくさんの光を取り込むことになりますから、シャッター速度を最高速にしても、光が入りすぎてまぶしい写真になってしまうことがあります。ISO感度は低感度を選び、光が入りすぎないように調整してください。

初心者向けのセットになっているキットズームレンズは、価格が抑えらえている分、レンズの性能はそれほど高くなく、開放F値がF3.5程度とあまり絞りを開放できない構造になっているものが多いです。特に暗い場所での撮影や、星空などの撮影ではF値が小さい単焦点レンズなどがおすすめです。

また、絞りを開いて明るい同一色(たとえば青空など)を撮影すると、四隅が暗くなる現象(口径食といいます)が発生しやすいので注意が必要です。

程よく絞って使うシーン

程よく絞るとは、開放F値から2~3段絞ったことを言い、そのレンズの性能を高く引き出せることができるゾーンです。ほとんどのレンズは、絞りを開放で撮影するよりも、いくらか絞って撮った方が画質が向上します。特に解像感が増し、シャープでくっきりした写真になるため、特に人工物や遠くの風景の撮影に向いています。レンズによって差はありすが、F8程度が美味しい絞り値と言えるでしょう。

■程よく絞るおすすめシーン
・背景をきれいにぼかして被写体を引き立たせるとき(望遠レンズ時)
・普段のスナップ撮影や景色など、全体的にピントを合わせたいシーン
・集合写真
・花やモノ、料理などの撮影(紹介写真用として)
・人物などのポートレート撮影(望遠、中望遠レンズ時)
・夜景などをくっきり写したいとき
・暗い場所での三脚撮影

私たちも普段、遠くの文字を見ようとすると自然と目を細めてしまうと思います。あれと同じことで光の通る道を小さくすると、全体的にくっきりと見やすくなるわけです。


絞りF8 焦点距離24mm このようなパンフォーカス向けの被写体では、程よく絞って撮影することで、全体的にピントが合います。


絞りF8 焦点距離50mm このようなディティール重視のパキパキ写真も、程よく絞ることで引き締まった写真に仕上がります。


F値2.0で焼酎の瓶を撮影、ラベルの手前と奥、それに机もボケてしまっています。作品としてはいい感じですが、商品を紹介するにはボケすぎていますね。


次にF値8.0で同じアングルで撮影しました。ラベルの字や瓶全体、それに背景の机もピントが合っていますね。全体が見やすくなってます。

ブツ撮りや料理の写真も、程よく絞ることで全体的にピントが合って見やすくなります。

さらに絞り込んで使うシーン

さらに絞り込むことで(F11以上)遠近差が大きいシーンでもピントが合いやすくなり、明るい場所でも遅いシャッターが切れるようになります。
風景などのパンフォーカスで、手前から奥までできるだけピントを合わせなければならない場合などは、F11~F16程度まで絞って撮影します。特に手前と奥で距離がある被写体で有効です。
また、滝などを流れるように撮影したい際には、できるだけスローシャッターにする必要があります。NDフィルターを装着する方法以外に、絞り込んでスローシャッターにすることができます。夜景などの光芒を鋭くしたい場合などにも絞り込みは有効です。

■絞り込んで撮影するおすすめシーン
・奥から手前まで、しっかりピントを合わせたいとき(風景等)
・滝などをスローシャッターで撮影したいとき
・動きをつけてモノを流して撮影したいとき


絞りF14 焦点距離80mm 手前の桜と奥の山にはかなりの距離がありますが、しっかり絞り込むことで手前も奥にもピントを合わせることができます。距離幅が大きいパンフォーカスには絞り込んで撮影するとよいでしょう。


絞りF11 シャッター速度3.2秒 焦点距離24mm 滝の流れを白いラインにするにはスローシャッターが必須です。


絞りF14 シャッター速度120秒 焦点距離24mm 日の出前の雲を長時間露光させて流してみました。

■回折現象による小絞りボケに注意
レンズを通る光の穴を小さくすればするほど、光の回折が発生し、画質が低下する性質があります。これを小絞りボケと言います。回折現象のメカニズムはちょっと難しいので、ここでは説明しませんが、レンズによって差はあるものの、F16くらいから解像感の低下がみられ、最大まで絞り込むとピントは合っているのにボケた感じになります。

シーンに合わせた絞り値の使い分け まとめ

・絞りの表現は基本的に自由だが、おおまかなルールがある
・絞り開放は、広角レンズでのボケの表現や夜間の手持ち撮影に有利
・程よく絞ることで、画質が向上する
・程よく絞るシーンはオールマイティーに使え、景色やスナップなどに便利
・絞り込むシーンはスローシャッターや、遠近差がある景色に向く
・絞り開放や極度の絞りすぎはデメリットや注意点もあるので気をつける

このように絞る度合いによっておすすめのシーンがあり、どうやって撮影してよいかわからない人は、上記のルールで試してみてください。必ずこうしないといけない… ということはありませんので、慣れてきたらさまざまな条件で撮ってみましょう。

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